日本画で見る 福知山十景

元伊勢三社(大江町)

「初詣」 作/菊池治子

元伊勢内宮皇大神社の初詣を描くことになった。
真っ先に全く異なる季節での取材、という不安が脳裏に浮かぶ。とりあえず現地へ行くべし!いざ元伊勢内宮へ!!

参道は220段もの石段とのこと。歩いてみたい気もしたが、これから写生という前に体力を温存すべきと車で上る。今思えば自らの足で上るべきだったと・・・。
黒木の鳥居を潜り御本殿へ。お参りを済ませ宮司さんのお話を伺い、季節の違いは拝借した資料を参考にできる。しかし写真で見る周囲の樹木は常緑樹ばかりで枯木が無いし、清められた場所ゆえ枯葉なども皆無・・・参拝者の服装に頼ろう。

五月晴れの午後、深閑とした境内の空気を感じながら描く。時折訪れる参拝者の潜めた足音、近くの駅からの列車の発車音、どれも半日のうちでほんの1~2回のことであった。
やがて陽が傾き始める頃、辺りは藤色から赤紫色へ―。近づく帳の前奏はことのほか美しい。しかし初詣は新しい年の新しい朝をと。このあたりでこの日の写生を終える。

翌日、早朝の社は新しい陽を浴び、精霊の息吹が耳を涼めたような・・・。昨日の続きではない一日の始まりであった。スケッチブックの新しい頁に描いてみよう。
わずか一両日であっても、移りゆく時間でこんなにも違った顔を見せてくれるとは・・・幾星霜も経た神様の栖む社なのだと肌身をもって感じることができた。

平成20年元旦に最初の一筆を本画の画面に入れた。

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